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2023/06/07

からだと宇宙リズムと進化の記憶~アナトミー授業 in Thailand~

からだと宇宙リズムと進化の記憶~アナトミー授業 in Thailand~

 

 

こんにちは。お久しぶりの更新となりました。

いつもありがとうございます🙌

 

もう約3か月も前になってしまいましたが

3月に1週間ほど

タイのお国へ行って参りました。

その節はお休みをいただきまして

誠にありがとうございました。

2023・03タイ寺.jpg


今回の研修は昨年12月に

チェンマイと横浜のタイマッサージスクール

「オンスクール」のオン先生から急遽

「アイチャン、アナトミーアルケドクル⁉︎」と

お誘いをいただいた事がきっかけでした。

 

2023.03解剖.JPG

 

アナトミーとは解剖の事。

タイのチェンマイ大学にて

ご検体での解剖学に

参加させていただくことが出来ました。

2023.03チェンマイ大学.JPG

 

授業の前には全員で

お花をお供えし、お祈りと感謝を述べて始まりました。

 

2023.03解剖室.JPG

 

 

もちろんお亡くなりになられてから

ホルマリン漬けにされ時間も経っているので

実際に生きて活動している人より

血液や水分が抜け

筋肉などの組織・臓器等も

硬く小さくなっています。

 

けれどもそれを踏まえた上で

 

自分の目で見て 実際に

触れさせていただけた事は

本や模型で学ぶよりもリアルで

貴重な体験となりました。

 

特に内臓部は筋膜の隔たりなどで 臓器の位置が前側・後ろ側と

分かれていたり 固定されていたりと

よくぞこの小さな空間に

これだけの精密な臓器が入り込んだなと思うほど

複雑に しかしすっぽりと収まっています。

 

施術ではお腹へのアプローチを特に大切にしていますので

習った事はこういう事だったのかと

より体感を伴って理解出来ました。

 

植物と神経.png

 

そして一番印象に残ったのは切断されずに取り出されていた

脳から脊髄・末梢へ続く神経系でした。

それはまるで土の中に深く根を張る植物のようでした。

 

 

「人間のからだは植物的な器官と動物的な器官がある。

この植物的な器官こそ生命の根源・本質であり、そこにこころがある」

 

 

 

そうおっしゃるのは香川県丸亀市出身の解剖学者、発生学者の

三木成夫さん(1925年-1987年)

 

三木さん本.JPG

 

 

今回のタイ研修のお供に

私はたまたま三木成夫さんの本を持って来ていました。

なんとタイムリーなことでしょう。

 

 

三木さんは本の中で人間のからだは

植物的な部分と動物的な部分から成ると

述べられています。

 

 

植物的な部分とは、生きるためのエネルギーや栄養を

吸収→循環→排出する器官、「はらわた」と呼ばれる内臓のこと。

 

 

具体的に言えば

栄養を消化吸収する胃や腸、それを全身に循環させる心臓や血管、

いらなくなった老廃物を排出する腎臓や膀胱などの内臓器の事です。

 

 

対して動物的な部分というのは

感覚→伝達→運動という身体の動きを生み出すところ。

 

外の情報を知覚する目や耳などの感覚器、その情報を伝達する神経と処理して指令を出す脳、

そして行動するために身体を動かす筋肉や骨のこと。

 

 

地球上で最初に生命が生まれたのは約40億年前と言われています。

はじめに腸ができ、脳を獲得したのは現在から5億年くらい前のことだそうです。

 

ヒドラ.png

 

つまり生の営みの根源は、このはじまりの一本の管

消化し、循環させ、生み出す「植物的」な内臓器にあり

 

そのために餌をとる・異性に近づくといった知覚や運動に関する「動物的な」器官は

後からできた、文字通り手足に過ぎないと本の中で語られています。

 

海辺.png

 

そして私たちの遠い先祖、

始まりの一本の管であった生き物は

次世代へ生命を繋げながら 海辺で何億年もの間、

何億回もの

昼と夜、潮の満ち引き、自然の、宇宙の繰り返しのリズムと

 

魚類・爬虫類・両生類・哺乳類と様々な進化をとげながら

海から陸に上陸してきた進化の軌跡が

私たちのからだに年輪のように

この植物的な器官に記憶されていると

 

三木さんは述べています。

 

(そして私たちは受精卵から胎児へと発達していく過程において

ものすごい速さでこの進化の「おもかげ」を母親の体内で再現し産まれていくのです。)

 

 

 

よく言われていることですが日本では「腹落ちする」「はらわたが煮えくり返る」

「切腹」「肝心(肝腎)」などお腹(はらわた)に関する言葉がたくさんあります。

正直に話すことも「腹を割って話す」と言いますよね。

はらわたにこころがある事の象徴だなと思います。

昔の人々は宇宙や自然、こころというものを当たり前のように

体内で感じっとっていたのかもしれません。

 

 

しかし現代では昼夜関係なく明かりがつき、

季節関係なく年中同じものが食べれたり

温度を変えれたりとどこか 共存を通り越して

自分たちに都合のいいように「自然」に手を加えすぎているのではないか

 

「あたま」つまり意識や思考の存在が大きくなり、

社会的な価値観や将来の不安に抑圧され

植物的な「あるがまま」「今」を「こころ」を感じる事が希薄になってきているのではないか

このような事も三木さんは提起されていました。

 

 

本を出版された当時はなおさら

腸よりも脳の研究の方がより進んでいたかもしれません。

一周まわって現在では改めて「はらわた」

腸の素晴らしい機能が注目され腸活がブームになってきていますね。

 

 

おなか.png

 

 

カルサイでも内臓の部分を大切にしており、

そこには負の感情がたまりやすいと言われています。

感情=「」持ち

怒り、悲しみ、恐れetc...感情はエネルギーですので

適切に消化されないと気は滞り、身体を硬く冷たくさせていきます。

気を循環させていくこと、それが心身の健康、そして精力・活力に繋がっていきます。

 

 

古代中国の人たちも、大きな大宇宙と私たちの内にある小宇宙(はらわた・こころ)との繋がりを

よくご存知だったのでしょう。この大宇宙と小宇宙の共振を

「三」のような「波模様」として表しました。

それが「気」という漢字になったそうです。

 

 

話があっちゃこっちゃに行ってしまいましたが

目先の刺激や報酬・快楽に左右されやすい脳よりも

 

大きな宇宙の、自然のリズムが染み付いたはらわたを

「内臓感覚」を大切にしていくことが

この激動の時代の波に乗り、

自分らしく生きていくことに繋がるのだと思います。

 

ヨガ.png



 

貴重な機会をいただきましてありがとうございました。

 

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